経済

経済概況

アゼルバイジャンは独立直後の1990年代前半に発生したアルメニアとのナゴルノ・カラバフ紛争や国内の政情不安のため経済の低迷が続いたが,1994年にカスピ海のアゼル・チラグ・グナシリ(ACG)油田開発に関する生産分与協定(PSA契約)が国際コンソーシアムとの間で締結されたことを契機として,欧米資本を導入した資源開発が行われ,高度成長の軌道に乗った。石油パイプラインによる輸出が開始された2006年から2010年にかけて油価高騰に支えられ,年平均10%以上の高度成長を達成。近年,経済成長は主要貿易相手国であるロシアの経済状況の悪化及び油価下落等により停滞し,2016年に初めてマイナス成長を記録したが,2017年以降油価が回復傾向を見せていることから,2018年の経済成長はプラスに転じる見込み。
他方で,近年非石油分野の育成と地域格差の是正が課題となっている。政府は,農業,観光,運輸分野等への外資誘致を進める一方,上下水道整備,電力,道路整備といったインフラ整備に注力し,投資環境の整備に努めている。

エネルギー

(1)石油
アゼルバイジャンの輸出額の約9割石油・ガス・石油製品で占められており、石油生産は経済の牽引役であり続けている。国内石油生産量の約8割を担うACG油田開発には,英BP社(操業オペレーター)を含む欧米エネルギー企業に加えて,我が国の伊藤忠商事(権益3.65%)及び国際石油開発帝石(INPEX)(同9.31%)が参加している。同油田の可採埋蔵量は約54億バレルである。2017年9月にはACG油田の現行のPSA契約を2049年12月31日まで延長することについて国営石油企業SOCARと国際コンソーシアムとの間で合意に達した。アゼルバイジャン産原油は,主に2006年6月に操業を開始したバクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)パイプラインを通じてトルコの地中海側に送油され,石油タンカーによって各国に輸出されている。同パイプラインは総延長1,768km(アゼルバイジャン443km,グルジア249km,トルコ1,076km)であり,BP社の主導によるコンソーシアムの下,我が国からは伊藤忠商事(権益3.4%),INPEX(同2.5%)が参加している。
 
(2)天然ガス
アゼルバイジャンは,2006年までガス需要の約半分をロシアからの輸入で賄っていたが,2006年末に商業生産を開始した英BP社をオペレーターとするカスピ海沖シャフ・デニス・ガス田開発により,翌年からはガス輸出国に転じた。
シャフ・デニス・ガス田で産出された天然ガスは,バクー・トビリシ・エルズルム(BTE)パイプライン(別名:南コーカサス・パイプライン(SCP))を通じてトルコ方面に輸送されている。アゼルバイジャンは各種のパイプラインを通じてロシア,イラン,ジョージア,トルコにガス輸出を行っている。
現在,シャフ・デニス・ガス田を主要供給源とするカスピ海地域の天然ガスをトルコ及び欧州に輸出する「南ガス回廊」パイプラインの建設が進められており,ロシア産天然ガスを代替/補完する計画として欧州諸国の期待を集めている。「南ガス回廊」計画のうち,トルコ領域を通過するTANAP(トランスアナドル・パイプライン)については,2014年3月の起工式から約4年の歳月を経て,2018年6月にトルコで完工式典が行われた。トルコから先の欧州方面へのガス輸送に関しては,2016年5月,TAP(アドリア海横断パイプライン)の建設が開始されことでアゼルバイジャンから南イタリアに至る全ルートが開通する見通しが立ち,2020年の欧州へのガス供給の開始を見据えて建設が進められている。

 

経済指標

  11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年
GDP (億ドル)
(名目)
637 692 735 749 530 374 413
一人当たりGDP(ドル) 7,003 7,491 7,912 7,986 5,559 3,890 4,239
GDP成長率(%) 0.1 2.2 5.8 2.8 1.1 ▲3.8 0.1
国家予算(歳出)
(億マナト)
171 176 198 184 211 177 176
石油生産量(百万トン) 45.6 43.0 43.4 41.9 41.6 41.3 38.7
天然ガス生産量
(億立米)
257 290 294 297 290 294 286
           出典:国家統計委員会、但し、石油・天然ガス生産量についてはSOCAR資料